そもそも「筋膜」とは馴染みのない言葉だが、何を指しているのか。
「筋膜は筋肉を束ねて包み、形を保持する役割を持つ膜です。鶏肉を調理するときに皮をはぐと、肉の表面を薄く覆う白い膜があります。あれが筋外膜と呼ばれる筋膜の一種です。他に一本一本の筋線維を覆う筋内膜などの細かい分類があり、それらを総称して筋膜といいます。
筋膜はコラーゲンやヒアルロン酸を多く含むため、潤滑剤となって筋肉同士の摩擦を軽減し、滑らかな動きを助ける役目もあります」
竹井氏は20年以上前から筋膜の働きに着目していたものの「当時の日本では肩こりや腰痛と筋膜の関係に言及する医師や研究者はほとんどいなかった」という。
本来、筋肉の動きを助けるはずの筋膜だが、現代人にとっては歳を重ねるなかで体への“重荷”にもなっている。
「パソコンの前に長時間座るなどバランスの悪い姿勢を長く続けていると、体の一部に偏って負荷が加わり、筋膜が滑らかに動かなくなるのです。またケガをした際に筋膜がねじれると、コラーゲン線維が寄り集まり、ヒアルロン酸が凝集(一部分に集まって膠着)し、コリや痛みの原因となってしまうのです。
そうした筋膜のねじれやよじれを元に戻し、筋肉の動きに合わせて正しく伸び縮みできるように矯正するのが筋膜リリースです」
竹井氏の著書には、その筋膜リリースを自分一人でやる方法が紹介されている。
※週刊ポスト2017年3月3日号