当然、そういう子は仕事が増えていく。とはいえ、芸能界的にはまだ知名度が低いし新人の部類。長時間の雑誌撮影などに、マネジャーがべったり付くことは考えられず、前後はともかく、「一人で行かせることも多い」なか、「この仕事は私がとってきた」「事務所は何もしてくれなかった」「売れたのは私一人の力」と言い始める子が多いのだそうだ。
テレビの仕事とは異なり、ひとたびモデルとして人気が出ると、ページ数などが毎号、毎号増えていき、やがてタイアップや広告ページのオファーまでもが…。そこまで来るのに、それほど時間がかからないのだという。
「自分が売れてくると、他の事務所の人気モデルさんたちとも仕事をするようになるので、当然ギャラの話にもなります。そこで、『私はこれしか貰ってないのに』と不満をもつ子もいて、そこに親御さんが出ていらっしゃるケースもある」と別の事務所幹部は明かす。
モデルからステップアップして、「女優」の肩書を掴んだ後も、青春群像劇のような作品で他事務所のタレントと共演して、自分が所属する事務所の「条件の悪さ」に直面する若手も多いと聞く。
さらに「みんなが広瀬すずちゃんみたいになれるワケでは当然ないので…」と話すプロダクション関係者もいた。つまり、先行投資をしたところで、した分、売れるわけでも、全員が必ずスターになっていくわけでもないということ。「多くの皆さまに応援していただけるようなポジションまで来られる子は、本当に一握りなのです。我々としては、その子たちに、できる限り、気持ちよく仕事をしてもらうよう、細かいケアをしていくしかないのです」という事務所幹部もいた。
「細かいケア」とは具体的にどういうことなのか、聞いてみた。
「ウチの社長がやっているのは、まずは、どんなに小さな仕事であっても、仕事が終わったときには、現場マネジャーらと共に食事会をして打ち上げをしています。そうした場では、ただ、べた褒めするということではありませんが、良かったところは徹底的に褒めて次につなげるようにしてもらう。いまの女の子たちは焼肉とか好きですから、そういう場所を選んでますね。ときには、ご家族を招いて、そういう会を開くこともあります。親御さんにも御心配な部分は多々おありになると思いますから、そうしたことを解決するためにも、必要な会だと言えますね」という。
こうした細かいケアをしなくて良くなるのは、女性タレントが何歳ぐらいになってからなのだろうか?
「いや、アラサー、アラフォーの女優とて同じですよ。結局、そういう小さいことの積み重ねや、ちょっとした気持ちのかけ方で信頼していただけるのは事実なので」と。
清水富美加と事務所、そして女性チーフマネジャーとの関係は、「決して悪いようには見えなかった」という声もよく聞く。各事務所にはそれぞれの方針やカラーがあるものなのだが、今回話を聞いた事務所幹部らによる女性タレントへの「細かいケア」の積み重ねと、親御さんを含めたコミュニケーションには、事務所側の苦労がしのばれる。