「トランプは大衆の欲望や怒りを察知する能力が天才的。オバマは立派な理想主義者だったけれど、一方でプアホワイトと呼ばれる『中間層』の没落に対して有効な手を打てなかった。このように社会が弱り、閉塞感が漂う状況のなかで、より強い指導者を求めていた空気を、トランプはがっちりつかんでいるんです。
民衆は弱っている時ほど、わかりやすい敵を示して、『今、社会がうまくいかないのは○○がいるからだ』『○○をやっつければうまくいく』という単純な構図を見せられると、それに飛びついてしまう。弱っているときだからこそ真剣にいろんなことを考えなければいけないんですが、身も心も疲れて思考停止状態になっているんです」
実は私たちの周りには、他人を平気で振り回す「トランプさん」がたくさんいる。例えば日本の政界。小池百合子東京都知事と対立している石原慎太郎氏は、会見をすると言ったり、しないと言ったり…。
「真実を定義するのは難しいです。でも事実や出来事については、当事者の間で『これが真実だろう』という合意が一応成り立っていることが多い。ところがそういう前提が成り立たないのが石原さんのような人。こちらが自明の真実だと思っていても『知らない』『見たこともない』などとしらを切る」
石原氏を攻撃している小池氏にも「トランプさん」といえる面も――。
「これまでの経歴を見ても、あんなに政党が変わっている人はいませんから、ちょっと心配ですよね。トランプとは違って国民から支持されていますが、攻撃する相手を見つけて徹底的に闘うというスタイルは危険です」
※女性セブン2017年3月9日号