◆“十六日目”に挽回できる
こうした自分の過去を振り返る「自分史」に詳しい「自分史活用推進協議会」名誉顧問の久恒啓一・多摩大副学長は言う。
「団塊世代を中心に自分史ブームが起きています。年を重ねると『体が言うことをきかない』『お金がない』と自己否定に陥りがちです。この十五番勝負のように、自分がこれまで何勝何敗だったかを知ることは、失敗が自分に勇気を与えたことや、ある人との出会いが自分の転機になったことなど、人生の『つながり』を発見できます。“黒星”が続いてしまった人でも、『仕事ではそうだったが趣味ではいいことがあった』という発見もあるはずで、今の自分に対して自己肯定感が持てるようになるのです」
たとえ負けが込んでも、相撲とは違い、人生では千秋楽打ち出しのはね太鼓が必ず鳴るわけではない。
「75歳以上を後期高齢者と言いますが、100歳以上の人口が6万人を超える日本では、まだまだ若い。後期高齢者からスターが現われる時代なのです。十五番勝負のように75歳までの自分史を振り返ることで、未来に向けて舵を切る。挽回もできるわけで、ここからどう生きるかが大事になるのです」(同前)
十五番勝負で人生は終わらずに、十六番、十七番と続いていくのだ。休場することなく土俵に上がり続ければ、負けを挽回するチャンスもやってくる。
※週刊ポスト2017年3月10日号