8年前「沈没」の危機すらあった巨艦は、見事復活し、今や大海原でその帆を大きく掲げている──。巨大コングロマリット「日立グループ」。東芝やシャープの不振とは対照的に、いまや米GE、独シーメンスら「世界の巨人」と肩を並べようとしている。
日立グループの2015年度(2016年3月期)の売上高は10兆343億円、純利益2947億円、総従業員数33万5244人は総合電機業界で最大規模と、その安定感は際立っている。
そんな日立にもかつて大きなピンチがあった。それを乗り越え、復活を遂げた要因はどこにあったのか。
もともと茨城県日立市にあった鉱山で使用する機械の修理工場として1910年に創業した日立製作所は、国産第1号の大型電気機関車をはじめ冷蔵庫や洗濯機などを次々と製造して事業を拡大。日立金属や日立電線、日立建機などを擁する日立グループの中核企業として日本を代表する企業となった。
しかし、2008年のリーマン・ショックを受け、2009年3月期決算で7873億円という国内製造業で過去最大の赤字を計上。その傷は深く、翌2010年3月期も赤字解消とはならず4年連続の最終赤字となったが、2011年3月期に黒字転換。2014年3月期には23年ぶりとなる過去最高益を達成するV字回復を成し遂げたのだ。
さらにそこで満足することなく、2018年度(2019年3月期)には売上高10兆円に加えて営業利益率8%超(2015年度は6.3%)を目標に掲げ、さらなる拡大・高収益化を目指している。