佐藤さんの娘の学校は理解があったが、学校側が「何かあると怖い」とアレルギーを持つ子供に給食を一切食べさせなかったり、教室の隅で1人で食べさせる「ぼっち給食」も少なくなく問題になっている。

 子供の食物アレルギーが成長とともに改善していくことが多い中、佐藤さんの娘は長引いた。それでも中学1年生の時から始めた新しい治療法の効果で、かなり食べられるようになったという。

 その治療法は「経口免疫療法」。原因物質をごく少量から食べ始め、段階的に食べられる量を増やしていく方法だ。

 従来は「原因物質を徹底的に避ける」のがアレルギー治療の常識で、万全を期すために妊娠中や授乳中から母親がアレルギー食品を避けるよう指導する病院もあった。

 しかし、それが「効果がない」とする報告が相次ぎ、2008年にはアメリカの小児科学会が「アレルギー食品を避けることは推奨しない」と指針を変更。日本でも徐々に経口免疫療法が広がり始めたが、いまだにかつての常識を信じている人も多いのが現実だ。

“従来の治療”を守り続けてきた人のなかには、こんな後悔を口にする人もいる。

「うちの子は卵がダメで、病院で『卵を絶対に食べさせないように』と“完全除去”を指導され、徹底してきました。でも、経口免疫療法があると知って、別の病院を受診したら“アレルギーが出ない量なら、むしろ食べさせた方がいい”と言われて頭が真っ白になりました…。早くこの治療法に出合っていたら、もっと早くアレルギーが治まっていたかもしれません」(46才・主婦)

 佐藤さんの娘は中1の夏休みに負荷試験を受けるために入院。その食べ物をどれくらい摂取したらアレルギー反応が出るかを検査で確認し、退院後から治療を始めた。最初はうどんひとかけらから始め、医師の指導のもとで少しずつ量を増やしていった。

「中3の修学旅行では、ようやく外食ができるようになりました。本人も『やってよかった』『やっぱりいろんなものが食べられてうれしい』と言っています」(佐藤さん)

 宇理須厚雄さんが名誉院長を務めるうりすクリニックでは、次のようなステップで治療を行っているという。

関連キーワード

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン