「“安全量”の2分の1からスタートします。1回目は病院で食べ、症状が出ないことが確認できたら、2回目からは自宅で食べる。当院では2週間ごとに増量します。2週間自宅で食べてもらったらまた来院してもらい、その1.5倍量を食べてもらう。そうやって徐々に食べる量を増やしていくのです。そして卵1個、牛乳200ccといった目標量に達したら、その後は週に1回とか2回といった維持療法に切り換えていく。子供の食物アレルギーの場合、鶏卵、小麦、牛乳とも9割くらいはうまくいきます」(宇理須さん)
ただし、経口免疫療法も万全ではない。国立病院機構相模原病院臨床研究センター・アレルギー性疾患研究部部長で医学博士の海老澤元宏さんはこう警鐘を鳴らす。
「経口免疫療法はまだ研究段階で、一般診療にはなっていません。もともと卵、牛乳、小麦のアレルギーは年齢とともによくなっていくことが多いので、経口免疫療法は症状の重い人たちに対してのみ行われています。経口免疫療法により症状が出なくなる人は多いですが、治療中にアナフィラキシーを起こしてしまうリスクもゼロではありません。実施している医療機関は全国で100施設程度に限られているのが現状です」
※女性セブン2017年3月23日号