国際情報

広東省広州市のスラムに多数のナイジェリア商人がいた

商店に集うナイジェリア商人。中国人店員は片言英語で対応

 移民や就労目的で、世界各国に中華ネットワークが拡大しているのは多くの人が知るところだ。ところが昨今、津動く国内への外国人の流入が社会問題を引き起こしている。中国広東省・広州市の各地に増殖している「アフリカ村」のひとつに、ノンフィクション作家の安田峰俊氏が飛んだ。

 * * *
 場末の路地の横幅は1メートルにも満たなかった。ヒビ割れた路面に散らばる生ゴミの腐臭。すすけた壁の安アパートの一階で、パクリ玩具や怪しげな食品を売る雑貨店。「余所者」の私の闖入を、住民がいぶかしげな目でじろりと眺める。

 ここは広東省広州市の三元里だ。一般の中国人すら滅多に足を踏み入れない城中村(チェンジョンツン、中国版のスラム)地帯である。私の目の前を、そんな場所にはどう見ても不似合いなアフリカ系の男が早足で歩いている。迷路さながらの路地だが、ずいぶん慣れた足取りだ。私は彼を見失わぬよう、薄暗いスラムの小径を必死でたどり続けた──。

 広州市では近年、アフリカ系外国人の増加による住民トラブルが社会問題化している。そこで現地に飛んだ私は、市内で見かけたアフリカ人の後をつけ、彼らのコミュニティがどこにあるのか突き止めようと考えたのだった。

 数キロにわたり男を追うと、やがて中国らしからぬ英語の看板を出すアフリカ人向け食堂が何軒もある通りに出た。瑶台西路という場所だ。路上では十数人のアフリカ人が昼間から青島(チンタオ)ビールを飲んで騒ぎ、非日常的な光景が広がる。さらに男の尾行を続けると、彼の姿はある安ホテルに吸い込まれていった。

 ロビーをのぞき込む。巨大な荷物を抱えた大量のアフリカ人がたむろしていた。私の観察中にも、続々と黒い肌の男女が入ってくる。近隣の複数の安宿もここと同様の状況らしく、おそらく1キロ四方ほどの地域だけでも100人近くが滞在していると見られた。

関連キーワード

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン