大切な人を亡くした時のショックは大きく、悲しみは深い。とりわけ、東日本大震災のような大災害での別れはあまりにも唐突だ。遺族はその死を受け入れることができずにいる場合も多い。

「そんな遺族たちにとって、霊体験は一種の救いになっている。家族の霊を“怖い”と感じる人はおらず、むしろ霊に出会うことで親しい人が亡くなったという事実と向き合い、折り合いをつけられるようになった人が多いのです」(奥野氏)

 このような体験は、東日本大震災の被災者に限ったことではない。

 終末期医療の現場に立つ医師たちがよく目にするというのが「お迎え現象」である。病床にある患者の夢枕に、すでに亡くなった親しい人が立ち、“あの世から手を引く”という現象だ。『看取りの医者』の著者で、630例を超える看取りを行なってきた平野国美医師はこう語る。

「私の実感としては看取った患者さんの3~4割が“お迎え”を体験しています。体験した人は、親や連れ合いなど親しい人が出てくるので、死をそれほど恐れなくなる。『あの人に会えるんだから、早く向こうに行きたい』と言い出す人さえいます」

 平野氏が看取った85歳の女性は、夫に先立たれた後に鬱病を患っていた。彼女は死期が近づくにつれ、こう話すようになったという。

「昨日、お父ちゃんがきて『こっちはいいよ』っていうの。お父ちゃんがそういうのなら、あっちいくのも悪くないわね」

 夫との不思議な邂逅が心理的な安らぎをもたらしたのか、女性は穏やかな表情で旅立ったという。

※週刊ポスト2017年4月7日号

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン