厚生労働省が行った「就労条件総合調査」によると、2016年の日本の有給休暇取得率は48.7%で、5割にさえ達していない。これほど取得率が低ければ、「有休を使える時に使って取っておきたい」と考えるのは当然だが、「午後から有休を」と願い出たものの拒否されてしまった場合、会社側に問題はないのだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
有給休暇に疑問があります。というのも先日、二日酔いで気分が悪かったので、午後から有休を取って休みたいと上司に伝えたところ、その理由では認められないといわれました。有休は労働者の当然の権利であり、特別な理由がなくても休めると思います。上司の判断はおかしいのではないでしょうか。
【回答】
有給休暇の使途目的に、制限はないという点では間違っていませんが、有休取得は何でも自由というわけではありません。半日の有休取得については問題があるのです。
年次有給休暇は、労働者が健康で文化的な生活を営むために、日ごろの疲れを癒し、休息を取るとともに、娯楽及び能力の開発のための機会を確保する制度です。二日酔いの回復は、この制度目的からは少し外れますが、労働者が有給休暇を申請したときに、使用者が時季変更権を行使しない限り、当該労働者の就労義務は当然免除されると解されています。
そして、使用者が時季変更権を行使できるのは、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においてのみです。それ以外は時季変更権を行使できません。なので使用者は休暇の使い途によって、時季変更権を行使することは許されません。