◆センセ、かんにんね

 わかりやすい“マジック”は「京都弁」だと井上氏は語る。

「京都弁は女性としての値打ちを確実に上げます。中でも強力なのは『ごめん』を意味する『かんにん』です。

 京都出身以外の男性がこの言葉を聞くと、『お殿様、かんにん、かんにんしとくれやす』と妄想を膨らませてしまうようです。そうしたセクシャルな含みがこの言葉を聞いた男性をメロメロにするのです」

 ある時、井上氏の知人の研究者に対して、事務上のミスをした京都出身の女性が「センセ、かんにんね」と謝ったことがあるという。

「僕は京都の人間として、“無遠慮な物言いだな”と思いましたが、後日、この研究者が『こないださ、京都の娘さんから“かんにん”っていわれちゃったよ。デヘヘヘ……』と嬉しそうに鼻の下を伸ばしていた。“アホなおっさんやなあ”と思いつつ、京女の操る京都弁には男を舞い上がらせる力があることを痛感しました」(井上氏)

 花街文化が残る京都には和服姿の女性が似合う。特に白塗りの芸妓が代表的だが、彼女たちが武器にするのが「うなじ」である。井上氏が指摘する。

「例えばブラジル人男性は女性の胸とお尻に興奮し、女性たちもそこが美しく見えるように磨く。しかし、日本の男性は奥ゆかしく、女性の胸やお尻をなかなか直視できません。このため着物姿で唯一、肌が無防備にあらわになる『うなじ』を見て、淫靡な想像を膨らませます。京女の和服姿に男性がイチコロになるのはそのためです」(井上氏)

※週刊ポスト2017年4月7日号

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