◆教団にとっては暴力は「お荷物」

 2001年には上級生が下級生をパイプ椅子で殴打した事件が発覚。高野連から6か月の対外試合禁止処分が下された。その後も暴力事件は散発的に報じられ、次第にPLの病が根深いことが知られていく。ただし、こうした暴力事件はPLだけが特別ではなかったと柳川氏はいう。

「暴力はどの野球部でも珍しくないし、実際いまでもある。暴力は言語道断ではあるんですが、先輩と後輩の関係性で全否定もしにくい部分もある。そういう趣旨のことはPLのOBも語っており、だからその後の連鎖も止められなかった」

 この暴力事件の連鎖がPLをゆっくりと蝕んでいく。

「世界平和を謳っている教団としては、暴力事件を繰り返す野球部が“お荷物”となってしまったのかもしれません」

 野球部ばかり注目される状況に反発する教団内部の空気もあった。

「カリスマ的な教祖が亡くなったのが1983年。その直後にPL野球部に全盛期が来るのですが、徐々に教団と野球部に距離ができていく。一方、教団の信者が減っていく問題もありました。公称でも265万人という信者数が30年ほどで90万人と大幅に減少した。現在の信者の実数はさらに少ないでしょう。教団の財政も悪化するわけです」

 PL教団の立教は終戦翌年の1946年。野球部は1955年の創部だ。その後の教団や野球部の隆盛と減退が日本の戦後の盛衰と一致しているのも興味深い。そうした背景に深く踏み込みながら、柳川氏は2016年夏、最後の地区大会の取材に足を運ぶ。「夢は甲子園」と言い続け、練習に励む選手たち。彼らを追う柳川氏の目線は温かい。

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