今では、『かねざき』の厚切り牛たん弁当は、年間5位の売り上げを誇るまでになった。
「単に売れるものを持ってこようとは思っていません。売れないから切り捨てるのではなく、どうやったら売れるか新しい商品や見せ方を提案し、協力していくのがぼくたちの仕事なんです」(宗森さん)
黒毛和牛ハンバーグ弁当が年間弁当ランキング堂々1位の『ミート矢澤』は、注文を受けてから焼き上げるこだわりぶり。ガラス張りの調理スペースは、熱が伝わるほど間近で、鉄板で肉が焼けるにおいや音、煙など、五感に訴える店舗スタイルだ。
「部位によって焼き方の秒数まで決めてレストランで提供しているうちとしては、冷めてもおいしく食べられる弁当づくりはなかなかのハードルで、何か月も試作を重ねましたね。いまだに毎日微調整をしているくらいで。ですが、出張帰りにうちの弁当を買って新幹線の中で召し上がったという地方のお客さまから、“こんなうまいお弁当は初めてだ!”というお電話をその日のうちにもらい感激しました。これが、東京の玄関口に出店することなんだと実感し、うれしく思います」(店長の渡邊雄介さん)
ぜいたくな初モノ弁当で新幹線の利用客を狙う一方、オフィスで働く近隣ユーザー向けの、1000円以下のリーズナブルな弁当もある。
かくしてデパイチとデパ地下を合わせ、実に年間210億円以上を売り上げている。
※女性セブン2017年4月13日号