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百貨店の中で業績右肩上がりの大丸東京店 「初モノ」も勝因

『N.Y.C. SAND』への長蛇の列は店の外にまで

 全国で40以上もの百貨店が次々と閉店していく中、『大丸東京店』だけは売り上げが右肩上がりだという。そこにはさまざまな理由があった。一般的にデパートでは1階は化粧品売り場になっていることが多いが、大丸東京店では1階をスイーツ売り場“デパイチ”にしたのが業界初。しかも1000種類ものお弁当が並ぶ「お弁当ストリート」もある“デパ地下”、通称『ほっぺタウン』も含め、食料品の売り場が、2フロアにまたがる。

 常設店舗の1号店として入った『N.Y.C. キャラメルサンド』は、長蛇の列ができるほどの人気ぶりだ。

『N.Y.C. SAND』1号店だけじゃない。ベルギーから日本に初出店の『メゾン ダンドワ』もそうだ。さらにお弁当売り場を歩くと、「初モノ」へのこだわりをいっそう感じる。親子丼で知られる創業257年の老舗『玉ひで』が新形態『たまひで からっ鳥と』として百貨店初出店し、五反田で行列の絶えない超人気店『ミート矢澤』も百貨店初出店…。

 この「初」という言葉に私たちは胸をときめかせるわけだが、これほど「初」を集めるのは至難の業だったはず。いったいどうやって実現させたのか? その仕掛け人が食品部の宗森耕二さんだ。

「お弁当業界が頭打ちのなか、有名なお店に新しいお弁当を作っていただくことは最大の差別化だと思っているんですよ。『玉ひで』さんには半年くらいは通いつめましたね。親子丼を出すのはどうしてもだめだというので、ちょうどブームとなり始めた唐揚げを作ってみるのはどうですか、と提案したんです。一流の素材でデパ地下版の唐揚げ弁当を作る、それならやってみたいと言っていただきました。

 それから牛たん弁当の『かねざき』さんは、もともと笹かまぼこの会社として取引していたんです。ただ売り上げはなかなか伸びなくて、2012年のグランドオープン前にどうしようかという時、震災も重なってしまった。で、よくよく調べたら本店の工場に食堂があって、観光客や地元客向けに牛たん定食を提供していることがわかったんですね。これだと思って、牛たんをお弁当に出すことを提案しました。被災直後の5月に、その提案をするために東京からぼくが出向いた時、先方は取引がなくなるんだと思っていたそうで、ぼくの提案にそれはそれは喜んでいただきました」(宗森さん)

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