大気汚染が深刻な中国で「空気ビジネス」が活況
中国のPM2.5(微小粒子状物質)による大気汚染の猛威はすでに常識となっているが、中国の人々の間では「新鮮な空気を吸いたい」という欲求が高まり、空気の即売会が頻繁に開催されたり、空気入りの缶詰が売れているなど、空気ビジネスが盛んになっている。中国紙「広州日報」などが報じている。
中国広東省北部に位置する清遠市では山間部は豊かな自然に恵まれており、空気がきれいなことから、観光客をターゲットにした空気の即売会が評判になっている。
観光客の目の前で、若い女性の売り子が山中の沿道で、ビニール袋に空気を入れ、その場で販売。小さい袋は10元(約170円)で、大きな袋は30元となっている。珍しさも手伝ってか、売れ行きは好調で、1カ月で1万元もの売り上げを記録した月もあったという。
観光客は車のなかで袋を開けて、新鮮な空気を楽しんでいるという。
このような空気ビジネスは「広州市など都会ではスモッグで苦しむ市民が多く、きれいな空気を欲しがっている」との発想からで、市政府も補助金を出すなど支援しており、農村部でこれといった産業に乏しい同市では貴重な観光資源となっている。
同市ばかりでなく、大気汚染で苦しむ内陸部の大都市、陝西省の省都・西安市では空気の缶詰の売れ行きが好調だ。市政府農業部が昨年から後援して、西安市郊外の山間部から採取した「清涼な空気缶」が1個18元で発売されており、すでに1万個以上が売れているという。