厚生労働省「人口動態統計の年間推計」によれば、2015年の死者数は約130万人にのぼり、2030年には160万人を突破する見込みだ。とくに都会では孤独死が急増し、2030年には孤独死予備群は2700万人近くにのぼると見られている。話題書『無葬社会』の著者で浄土宗僧侶でもある鵜飼秀徳氏がいう。
「きちんと地縁や血縁に根ざした供養を受けられず、誰にも見送られず、宗教的な弔いもなく送られていく。そういうケースが、年々増えています。それを私は“無葬社会”と呼んでいます」
すでに首都圏では大量の死者をさばききれない、深刻な状況にある。火葬場は過去に例がないほどの“混雑”となっている。
「昨年、母が亡くなった時、火葬が10日後になるといわれました。葬儀社が“ドライアイスを入れ替えても遺体の傷みを防ぐのは無理”というので、家に連れて帰るのは諦め、泣く泣く遺体を預けました。10日間も母を冷蔵庫みたいな場所で過ごさせるのは忍びなかった」(55歳・会社員)
公営の斎場が満杯なら民間の斎場を利用する方法もあるが、公営なら数万円程度で済む費用が数十万円になることもある。
火葬場サイドも対応に奔走している。一般的に友引は「友を呼ぶ」ということで、葬式や火葬を避けるのが常識だったが、もはや構っていられないのが現実だ。