北京市内の韓国ブランド店の女性スタッフに「韓国人は出ていけ!」と怒鳴る男。ロッテマートのレジに並ぶ客に「お前は愛国心がないのか!」と罵声を浴びせる女。エントランスに太極旗を敷き、客に踏ませるホテル……。江蘇省啓東市では、路上駐車していた韓国・現代製の車が破壊される事件も発生している。
今のところ韓国人が肉体的危害を加えられた事例は確認されていないが、3月に入り、中国各地では「韓国に制裁を」「ロッテは出て行け」という類のプラカードを掲げた小規模デモが頻発。韓国に対する抗議は、ボイコットからより暴力的なものに姿を変えつつあるのだ。望京(天安門広場から北東15kmに位置する。中国最大級のコリアンタウンとされる)で出会った韓国人駐在員の男性が言う。
「私自身はトラブルに遭遇したことはないのですが、ネットの投稿を見ると心配になります。4月の連休は家族で中国国内を旅行しようと計画していましたが、行き先を日本に変更しようと思っています」
中国政府は「理性的な愛国心を持つように」と呼びかけているものの、民衆は“愛国無罪”を御旗に絶賛暴走中。中国各地の過激な反韓運動は、中国政府が民衆をコントロールできなくなっていることの表れとも言えるのかもしれない。
※SAPIO2017年5月号