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朝鮮労働党「朝中関係の破局を準備せよ」重要講話で現実味

中国は金正男暗殺に激怒 AP/AFLO

 金正男氏の暗殺を契機に、中朝関係は「帰らざる橋」を渡ってしまったようだ。中国は北朝鮮産石炭の輸入禁止に踏み切り、北朝鮮は「中国との破局」に向け朝鮮人民軍の準備も始めた──。ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。

 * * *
 北京の外交筋が明らかにしたところによると、朝鮮労働党中央宣伝部は北朝鮮国内の新義州、恵山、会寧、南陽など中朝国境地帯にある100人以上の従業員を擁する企業や工場、あるいは国境警備隊の軍部隊に対して、「朝中(北朝鮮中国)関係の破局を準備せよ」という重要講話の学習会を頻繁に開催していることが分かった。

 その内容は「中国はすでに社会主義を捨て米国の手下になり下がっており、中国との関係は以前より良くなりはしない。中国の反動的動きを警戒し牽制しなければならない。彼らの言動は陰謀に満ちており、絶対に信じてはならない」などという厳しいもので、中朝関係断絶が現実味を帯びていることをうかがわせる。

 朝鮮人民軍内部でも同じような内容の学習会が行われており、とくに国境警備隊では新たに軍内に不穏な動きはないかを警戒する「監視組」が組織されるという異常事態が出来している。

 これは中国から金正男殺害事件の情報が北朝鮮国内で拡散することについて、金正恩指導部が強い危機感を抱いていることを示している。事件の真相究明は今後もなされていくことになろうが、金正恩委員長が兄である金正男の暗殺を命令したとの情報が流れれば、国内に動揺が広がり、体制崩壊のきっかけにもなりかねないからだ。

【PROFILE】相馬勝●1996年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。産経新聞外信部記者、香港支局長、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員等を経て、2010年に退社し、フリーに。『中国共産党に消された人々』、「茅沢勤」のペンネームで『習近平の正体』(いずれも小学館刊)など著書多数。近著に『習近平の「反日」作戦』(小学館刊)。

※SAPIO2017年5月号

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