【1】無症状の健康な人にPET(陽電子放射断層撮影)検診は勧めない
【2】無症状の健康な人に腫瘍マーカー検査は勧めない
【3】無症状の健康な人に脳MRI検査は勧めない
【4】自然に治る腹痛(非特異的腹痛)に腹部CT検査は勧めない
【5】医学的適応のない尿路カテーテル留置は勧めない
【1】~【4】は健康診断や人間ドックにも含まれており、まさに“健康な人”が受けている検査だ。CWJメンバーで、総合診療医の岸田直樹氏が指摘する。
「【1】~【3】は誤って陽性だと診断してしまう“偽陽性”のケースが多数報告されており、過剰診療に繋がってしまう。PET検診や腫瘍マーカーはそれ自体では、がんを明確に発見することができず、“がんの可能性がある”と診断した結果、胃カメラや造影剤を用いたCT検査を受けたが、結局何もなかったというような事態が少なくない。これらの検査は症状が出たり、無症状でも家族歴がある人が行なうものです。
同じく脳MRI検査で、数ミリ単位の小さな脳動脈瘤を発見したとする。無症状なら通常は放置しておくサイズだが、存在を知った患者が治療を懇願し、結果的に『コイル塞栓術』などリスクの高い手術を選ぶケースもある」
コイル塞栓術とは、動脈瘤にコイルなどの人工的な物質を詰めることで破裂を防ぐ治療法。その過程で医療ミスによる脳内出血を招くなどのリスクが伴う。