日米首脳会談後、トランプ大統領が「在日米軍を受けいれる日本に感謝する」と述べた後、自民党重鎮が「大統領選挙中の言葉からは考えられない。互いに良い関係ができた」とキャッキャッと喜ぶのを見て、言葉は悪いがバカじゃないかと思った。
与党の人間ならあの時、「感謝はありがたいが、在日米軍を受け入れているから沖縄はじめ基地問題がある。これを協議しようや」と直ちに言うべきだった。占領以来、属国的な扱いを受けているのに、ほんの少し感謝されると無邪気に喜ぶのは、今の保守の“アメリカさんにおんぶに抱っこ”という姿勢の表れだよ。
晋三総理の外交ブレーンと言われる今井尚哉・首相政策秘書官にも不満がある。経産省出身の今井氏は安全保障のためには経済関係を深めるべきという考えだが、経済だけで国と国との関係はうまくいかない。
昨年12月のプーチン来日が好例だ。ロシアのプーチン大統領に3000億円の経済協力という土産を持たせたが、首脳会談後の共同記者会見では北方領土の「ホ」の字もなかった。交渉は完全に失敗だった。
日本とロシアには北方領土やシベリア抑留など負の遺産がある。そこに触れず、商売だけでやろうとしても成果はない。国と国との交渉では民族の魂や建国の精神を忘れてはダメなんだ。
アメリカとの関係も同じことで、占領の延長線上にある既得権をすべて返してもらって初めて対等の関係になる。