嫌いな人を探すのが難しいぐらい愛されている国民食・カレーライス。しかしその食べ方にはこだわりを持っている人が多い。カレーは作ったその日よりも2日目のカレーのほうが、味が馴染んで美味しい。多くの人がそう口を揃えるが、食中毒の危険性を孕んでいる。
3月8日、東京・世田谷区の私立幼稚園で園児と教職員ら計76人が、下痢や嘔吐の症状を訴えた。原因は前日に教職員と園児らで作ったカレーだった。大きな鍋で調理してそのまま一晩常温で保存したことにより、「ウェルシュ菌」が増殖し、食中毒を引き起こしたのだ。日本食品衛生協会の栗田滋通・技術参与が言う。
「ウェルシュ菌は人や動物の腸管内などに存在する菌で肉や魚、野菜などの食材にも付着し、体内に大量に取り込まれると、食中毒を引き起こす。厄介なのは芽胞という殻のような状態になり、100℃で6時間熱しても死滅しない。
55℃程度まで下がると芽胞から新しい芽が出て菌が増殖するのです。料理にとろみがついていたり、量が多かったりすると温度はゆっくり下がるので、増殖する時間も長くなります。ウェルシュ菌が繁殖しないよう、常温で保存せず、冷蔵庫に入れることが大切です」
※週刊ポスト2017年4月28日号