しかし、米国に、北朝鮮にスパイを送り込み国家機密を探知するほどのインテリジェンス能力があるとは思えない。そこで出てくるのが、特殊部隊を北朝鮮に派遣し、金正恩・朝鮮労働党委員長を「中立化」(インテリジェンス業界の用語で殺害を意味する)することだ。金正恩が「中立化」し、北朝鮮の新体制を米国や日本にとって脅威をもたらさないようにすれば、北朝鮮国家が存続することを米国は認めるであろう。
これらのオペレーションに日本が積極的に参加するよりほかはないので、米国を側面から支援するしかない。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。本連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。
※SAPIO2017年5月号