ショッキングピンクを選んだ山本氏の心中を推測すると、謝罪は建前、自分の失敗に対してあれこれ突っこむなと牽制したかったのだろう。とりあえず発言を撤回し謝罪するも、質問する記者たちの顔を見ながら、「二条城では書道もお茶もお花もできない」という自分なりの問題意識を主張したのだ。
さらに次の日、閣議後の記者会見で山本氏が締めていたのは、なんと鮮やかな赤のネクタイ! 閣議後の記者会見ではいつもこの赤のネクタイ姿だが、菅官房長官が苦言を呈していたこともあり、今回ぐらいは変えるだろうという予想を見事に裏切った。
というのも強い赤を身につける人は、地位の高さを印象づけたいという気持ちがあり、権力欲、支配欲、顕示欲が強いほど強い赤を好むといわれる。強い赤は激怒の色でもあり、謝罪に最も向かない色だ。彼の心にあったのは反省よりもいら立ち、怒りではないだろうか。
主張の間違いがマスコミで指摘された山本氏は、度々、口角に力を入れ、唇が見えなくなるほど巻きこんで口先をふくらませ、眉を下げて不満と怒りの表情を見せた。発言中も一切、記者たちの顔を見ない。だが、自身が関係する書道教室の先生が、一昨年、二条城でパフォーマンスをやりたいと申し入れたが断られたと話すと、口を一文字に結んであごを上げ、「さあどうだ」と言わんばかりに、記者たちを上から目線で見回したのだ。
あぁやっぱり…である。講演での発言を聞いた時、「がんは学芸員だ」に続けて、「この連中を一掃させなければならない」と、「この」という言葉に力を込め強調して述べていたのが気になった。その声音にこもった強い怒りや憎悪の感情と「がん」という言葉使い。やはり学芸員の誰かに対する個人的恨みや嫌悪感が根底にあったのだ。この時、締めていたのも赤のネクタイ。赤は心の奥底にある感情と関係する色でもある。
さて赤といえば、金田法相も赤いネクタイがお好みのようだ。国会答弁に何度となく赤いネクタイを締め、ふてぶてしく登壇している。金田氏といえば、共謀罪に関してまともな答弁ができないどころか、「私の頭脳が、対応できない」という発言に驚いた人も多いだろう。
赤とこの発言にどんな関係があるのか?と思われるだろうが、赤い色には複雑な認知的活動を阻害し影響を与えるという研究結果があるといったら、納得できるはず。もちろん例外もあるが、心理学者のアンドリュー・J・エリオットらの研究グループによると、赤は身体を使う課題のパフォーマンスは向上させるのだが、頭を使う課題のパフォーマンスには悪影響を及ぼすというのだ。
…つまり、赤のネクタイを好む政治家には、要注意ということだ。