お香で最も古いものは、体に塗る粉の“塗香”という説があります、と言うのは『岩佐佛喜堂』(香川県高松市)の5代目で、常務の岩佐一史さん。
「塗香は、仏教でお清めに使用する道具で、現代においてもお寺に入る前や仏教行事を行う前に身を清め、穢れを祓う作法に使われています。また、古来の考え方の1つに『医香同源』という言葉がありますが、昔はお香を鼻から吸引する薬として使っていました。その流れもあり、私どもでは、数種類の漢方薬を組み合わせて作っています」(岩佐さん、以下「」内同)
塗香を長年、愛用している人からは、「体臭が消えた」「リラックスできる」「集中力が上がった」などの感想が多く寄せられていたこともあり、お香にそのような効能が本当にあるのか調べようと、岩佐さんは、香川大学と共同で実証実験を行った。
すると、単純な計算を繰り返す作業では平均15.4%も作業量がアップ。脳波などの計測でも、リラックス&集中力が高まる効果が表れた。そこで昨年12月に、「白檀を主成分とするお香には、安静時に心身ともにリラックスできて、作業時には集中力を高める効果がある」という研究結果を発表した。
これらの結果を踏まえて、新たな商品開発に乗り出した岩佐さんらは、お香をベースに、香りが強烈な生薬を調合し、そこに香川県産のオリーブを配合して、新しいタイプの塗香 を開発。『岩佐佛喜堂 塗香 香粉 KOKO』(小瓶サイズ 直径2.2cm×高さ8cm 内容量5g5400円)を2月12日に販売を開始し、これまでに約1000個の販売を達成。その後も順調に売り上げを伸ばしている。
ところで、『岩佐佛喜堂』のある香川県の“香川”は、山上にあった香木の香りが、川に沿って街まで流れ出たことから命名されたのだとか。塗香がうどんに負けない、新しい名産品になることを、岩佐さんは夢見ている。
『香粉01』は、実験で使用したお香をベースに、熱さましの薬でもある白檀、体を温める桂皮、鎮静効果のある丁子、カンフル剤でもある龍脳、体の余分な水分を出す山奈、呼吸器の薬でもある安息香、幽玄の香りを放つといわれる沈香などの生薬で調合している。その他、全6種。
※女性セブン2017年5月4日号