なんてこった。
「最近の若ぇのは、やることが万事せこい!」
私は怒って見せるのでありますが、彼女は間髪入れずに言う。
「そういうことをするのはオジサンです」
な、なんてこった。なんという弱気。私は言葉が出ない。
「オジサン、握手まで頑張ってみて、それで目がないなと思うと、それじゃって帰って行くんです」
酔って奢ってタクシー代も奢って握手して、はい、さいなら。厳しい。切ない。死んだ方がましだ。まあ、そこまで嘆くこともないか。そういう哀しい話を聞いたしばらく後だったが、私は居心地のいいデカ箱の居酒屋でなんともいい光景を見た。カウンターの隣で飲んでいた爺さん、店の若い姐さんに会計を頼むと2050円である。
「ああ、50円ある」