吉永社長は決算発表で、今後の方向性についてこう繰り返し強調した。
「選択と集中、差別化・付加価値戦略の基本方針は不変。今後もまったく変わらずにやっていきますが、そのうえで、さらにスバルブランドを磨く活動もしなければなりません」
企業はさらに発展させたいが、規模の拡大に伴う“コモディティ化(機能やブランド力などの同質化)”だけは避けたい──それが、いまスバルが抱えている最大の問題というわけだ。
「100万台の販売台数を超えた時点で、もはやニッチなカテゴリーで攻める小規模メーカーではなくなっています。今後は車種構成も増やさなければなりませんし、生産規模や設備投資を増やしてどこまで顧客を囲い込めるかの見極めが必要になってくるでしょう。
また、スバルは環境開発車の対応が遅れていたため、提携するトヨタから技術提供を受けながら、2019年ごろにPHV(プラグインハイブリッド)を、2021年ごろにはEV(電気自動車)を発売する予定です。トヨタグループの戦略にも組み込まれる中で、いかにスバルの存在感を保てるかも大きな課題です」(前出・福田氏)
「とにかく、スバルブランドの実力をもっと上げなければならない。それに尽きます」
決して現状に満足することなく、こう危機感を強める吉永社長。今後、スバルらしさを維持できるか否か、真価を問われる局面は増えそうだ。