昔は、天皇賞(春)のあとはオークスまでGIレースがなかったのですが、それほど寂しい思いもなく、ヴィクトリアマイルの創設時には、どこかとらえどころのないGIというイメージがあったものです。
しかし年々、このレースの妙味が身に染みてきました。3歳で未完成だった牝馬が力を伸ばしてきたとき、それまでは安田記念や宝塚記念といった牡牝混合レースを目標にするしかなかったのです。
冬から春にかけて行なわれていた阪神牝馬S(ヴィクトリアマイル創設以前は12月に施行)、京都牝馬S、中山牝馬S、福島牝馬Sといった牝馬限定重賞は、ともすると盛り上がりに欠けることがありましたが、大きな目標ができたことで、俄然意味を持つようになった。その他ダービー卿CT、マイラーズCなど、さまざまな路線から参戦してきますが、他の舞台で末脚を発揮した馬でも、東京競馬場で通用するかどうかは分からない。やはりGIだけあって本当に強い馬しか勝てない。
だから実力ある牝馬にとっては「復活」のステージという側面もあるようです。2015年、2016年と連覇したストレイトガールも、2015年は高松宮記念13着、2016年は阪神牝馬Sで9着と、前走はともにふるいませんでした。2014年のヴィルシーナも前年このレースを勝った後は着外が続いていましたが、大舞台で見事に復活しました。ここ一番での強さが問われるのです。