「2004年から探知犬の育成を始めましたが、当時の医学界は“がんににおいがあるというのは非科学的だ”と否定的でした。それでも地道な訓練を重ね、マリーンががんを探し当てる確率はほぼ100%に到達しました」(佐藤さん)
2011年、がん探知犬の論文がイギリスの医学誌に掲載されると世界中で話題となり、今では13か国でがん探知犬の実験や育成が行われている。
「日本の探知犬は優秀で、放置すればがん化する可能性がある“前がん状態”まで発見できます。病院の検査では判明しなかったのに、犬ががんを見つけたことも。いまだに“がんのにおいのもと”が何なのかは解明されていませんが、がん患者に特有のにおいがあることはわかってきています」(佐藤さん)
佐藤さんが共同代表を務める「ドッグラボ」では、探知犬による検査を実際に受けることができる。専用の呼気採取バッグに息を吹き入れてラボに送ると、1~3週間ほどで結果がわかるという。
費用は3万8000円。病院で全身のがん検査を受ければ軽く10万円を超える。カメラを体に入れるような苦痛を伴う検査もなく、時間の制約もない上に費用も低い。手軽に受けられるのが魅力的だ。
「今はまだがんの部位をお教えできる段階には至っていません。探知犬の検査で“可能性アリ”となったら、できるだけ早く病院で適切な検査と治療を受けてください」(佐藤さん)
犬の嗅覚が、がん治療を劇的に変える時代が来るかもしれない。
※女性セブン2017年5月25日号