思い返されるのは先場所の千秋楽、1差で追うモンゴル人大関・照ノ富士と戦った本割での一番だ。稀勢の里は立ち合いで「右」に変化し、突き落としで照ノ富士を下した。
「稀勢の里には、照ノ富士が負傷した左胸を狙って頭から突っ込んでくるという情報が入っていたのではないか。思わず体が右に変化してしまったように見えた。
今場所は、春場所で稀勢の里の引き立て役になってしまった照ノ富士はもちろん、同じ伊勢ヶ濱部屋のモンゴル横綱・日馬富士も“もう一度、土俵下に叩き落とす”くらいのつもりでぶつかってくるでしょう。もちろん、丸1年間も優勝から遠ざかっている横綱・白鵬は今場所が振るわなければ完全な主役交代ですから、生き残りをかけて必死なのは間違いない」(協会関係者)
もはや稀勢の里の「左」が弱点なのは周知の事実だ。
「モンゴル勢が左を狙ってくるとわかっていても、横綱として土俵に上がる以上、先場所のように変化はできない。稀勢の里は名実ともに横綱相撲が求められる立場になったのですから」(前出・若手親方の一人)