国際情報

斬首作戦は困難 金正恩の居場所を見つけることができない

4月2日に公開された米韓合同軍事演習 EPA=時事

 今年の米韓合同軍事演習がかつてなく緊迫感を持っている。金正恩暗殺の「斬首作戦」も取り沙汰されている。元公安調査庁第二部長の菅沼光弘氏はこう指摘する。

「“斬首作戦”は、英語では『ビー・ヘッディング・オペレーション』と呼ばれていますが、ステルス戦闘機を使うにせよ、無人攻撃機を使うにせよ、特殊部隊を侵入させるにせよ、作戦遂行は簡単ではありません。

 肝心の金正恩の居場所を特定するのが難しいからです。例えば金正恩がいると思われる指揮所は、指令を出す電波が集中している場所だと考えられます。当然、山間部の厚い岩の下にあるだろうから、それを破る攻撃を仕掛けることになりますが、北朝鮮も米軍の作戦を知っているから、破壊は難しい」

 かつて、ソ連は電波をわざと集中的に出す“フェイク”の指揮所を作っていたとされる。北朝鮮も同じようなダミー施設を設けている可能性は高い。

「北朝鮮では、ヒュミント(人間を介した諜報活動)も活動できる余地があまりない。アメリカはフセインやカダフィ、ビン・ラディンなどの居場所を見つけてきましたが、それは中東にスパイを入り込ませることができたからです。
 
 北朝鮮は入国することすら難しく、国民の守秘も厳しいため、ヒュミントが活動して金正恩の居場所を見つけることはなかなかできないのではないでしょうか」(同前)

 韓国の聯合ニュースは、4月の軍事パレードを分析し、北朝鮮でこのたび新たに「特殊作戦軍が創設された」と報じた。米韓の“斬首作戦”への対抗だとされ、〈朝鮮中央テレビは特殊作戦軍が広場を通る際「最高司令官(金正恩氏)の命令さえあれば、白頭山の稲妻のごとく敵の心臓部に真っ先に匕首を突き刺すという強い意志がみなぎっている」と伝え〉たという。

 米韓と金正恩のチキンレースは、極限に達しようとしている。

※SAPIO2017年6月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

新関脇・安青錦にインタビュー
【独占告白】ウクライナ出身の新関脇・安青錦、大関昇進に意欲満々「三賞では満足はしていない。全部勝てば優勝できる」 若隆景の取り口を参考にさらなる高みへ
週刊ポスト
受賞者のうち、一際注目を集めたのがシドニー・スウィーニー(インスタグラムより)
「使用済みのお風呂の水を使った商品を販売」アメリカ人気若手女優(28)、レッドカーペットで“丸出し姿”に賛否集まる 「汚い男子たち」に呼びかける広告で注目
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下主催の「茶会」に愛子さまと佳子さまも出席された(2025年11月4日、時事通信フォト)
《同系色で再び“仲良し”コーデ》愛子さまはピンクで優しい印象に 佳子さまはコーラルオレンジで華やかさを演出 
NEWSポストセブン
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン