不整脈の一つである「心房細動」の治療は、20年ほど前までは薬物や電気ショックなどの対症療法しかなかった。しかし現在、高周波カテーテルアブレーション治療によって、心房細動は治る病気になっている。不整脈の発生源である心房細動基質や心房細動起源にカテーテルの先端を押し付け通電し、焼灼するもので、手術時間も短く、痛みも少ない低侵襲な治療である。
心房筋が正常ならば、洞結節(どうけっせつ)で発生する電気刺激をスムーズに速く心房全体に伝えることができる。ところが、心房筋が傷むと様々な障害が起こる。電気刺激がゆっくり進んだり、回転したりするようになるのが心房細動基質で、1分間に約600回という高頻度で興奮するのが心房細動起源だ。
心房細動は、心房細動基質と心房細動起源のどちらか、あるいは両方で引き起こされる。そこで心房細動の根治治療として導入されているのが、高周波カテーテルアブレーション治療だ。不整脈治療に特化している東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長に聞いた。
「カテーテルアブレーションは、心房細動基質や心房細動起源を探し出し、そこにカテーテルの先端にある電極を押し付け焼灼する治療です。不整脈の原因は心臓の中で点、もしくは面として存在し、それを見つけて心臓の壁を内側から外側まで直径5~8ミリメートル、深さ5~8ミリメートルほど焼灼します。焼きすぎると穴が開き、足りないと不整脈が治らないので、経験が要求されます」