では、エスカレーターの「鈍感な『立ちんぼカカシ』」はどうか。
「一段とひどく」などならず、むしろどんどん少数派になり、同時にこの少数派は負傷の危険を感じている。高齢者もそうだし、杖をつく歩行困難者もそうだ。日本はこういう人たちへの「無神経国家」になりつつある。
エスカレーター製造会社では、片側歩行は機械の片減りを招くので賛成できないと言っているらしい。こうした工学的視点を含め、大事故が起きる前に検証が必要だ。
●くれ・ともふさ/1946年生まれ。日本マンガ学会前会長。著書に『バカにつける薬』『つぎはぎ仏教入門』など多数。
※週刊ポスト2017年6月9日号