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危険なエスカレーター歩行 先駆的提唱者は本多勝一氏だった

評論家の呉智英氏

 エスカレーターに乗るとき、右と左、どちら側に立つのか。地域性などとともによく取り上げられるテーマだが、メーカー側は片側に寄って立つことと歩くことは危険だと訴え続けている。しかし、片側あけと歩行がマナーであるかのように振る舞う人も少なくない。評論家の呉智英氏が、多数派となった片側あけと歩行の危険性について、検証を訴える。

 * * *
 産経新聞5月17日付の「談話室」(投書欄)に載った大阪在住の79歳の元会社員の投書に共感した。政治だの経済だのといった大きなテーマを“庶民の視点”で語る投書にろくなものはないのだが、この投書者の“小さな”体験と提言は重要である。

 投書者は「地下鉄の駅に降りる長いエスカレーターに乗っていると、突然後ろから」中年男性に声を掛けられた。「左側に立っていると、追い越しの邪魔なんです」という。投書者は「声を荒らげて」反論した。彼は、エスカレーターに乗った老婦人が片側を駆け下りてきた人と接触し転落しそうになったのを目撃したことがあり「エスカレーターの追い抜きは危険だと感じていた」。駅などでは「歩かずに利用ください」と呼びかけるべきだと提言している。

 投書者自身が乗っていたのも前に目撃した例も降りエスカレーターである。これがきわめて危険なのだ。後ろからぶつかられると、目の前はまるで奈落である。しかも、投書者も高齢者、目撃例も老婦人。エスカレーターは足腰の弱った人のためにこそある。

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