工場では、社員2人とパート従業員約10人が働いている。出勤日を自分で決められるので、出勤する人の人数にばらつきがある。明日はたくさん人が来るだろうと見込んで、多めに作業を準備していたのに、読みがはずれることもある。だれも来なかった日も一日だけあった。工場長としては困るのではないかと思いきや、週単位でみると、出勤人数は平均化されるので、特に困ることはないという。実におおらかだ。
パート従業員はすべて女性。これまで、子どもが熱を出したり、学校行事などで休みが続くと、迷惑かけて申し訳ないと辞めてしまうことがあった。フリースケジュール制にしてからは、離職者が激減したという。
会社側も、従業員のシフトで頭を痛める必要もない。出勤も欠勤も事前連絡なしでいいから、当日の無断欠勤でイライラすることもなくなった。辞める人が極端に減ったので、求人費用もかからない。新人教育の必要もなくなった。人件費は2割減になったという。
この会社では、「嫌いな仕事はしなくていい」ともうたっている。前もってパート従業員にアンケート調査したところ、だれかが嫌いな作業は、だれかが好きということがわかった。結果的に適材適所で、自分の好きな仕事をすることにより、効率もアップ、品質も向上。働く人の自主性に任せたら、いい結果につながったのだ。
武藤工場長は、「パートさんたちと距離が近くなり、楽しい職場になった。会社が忙しい年末などには、自分たちから職場に出てくれて、頑張ってくれたり、効率が上がるように提案してくれるようにもなった」と話す。