では今、51年ぶりに新製品を出した理由とは何なのでしょう?
「クイックCという製品名が示すように一番のポイントはすばやく溶けるという新しい機能にあります」と研究部部長の三浦孝典氏(51)は言う。
「カプセルの中には液体が入っています。カプセルの皮膜はゼラチンですので約6分で全て溶けて胃からすばやく吸収されるというメカニズムです」
しかし形状は変わっても、主成分は変わりません、と三浦氏は続ける。
「正露丸の有効成分は100年間、一部の生薬を除いてほとんど変更しておりません。ブナやマツの原木を火であぶり乾留した淡黄色透明の『木クレオソート』には、腸の水分をコントロールしたり腸の蠕動(ぜんどう)運動を正常に戻す効能があります。一方で、腸内の善玉菌を殺すことはなく、腸の働きを整えます」
主成分は変わらないが溶ける時間は大幅に短縮された。糖衣で15分、正露丸はそれ以上かかるというのだから、新製品の「6分」はたしかに素早い。やはり速度が求められる時代のせいでしょうか?