「佐藤先生はとても人気のあるかたですが、固定ファンのいる作家、好きな読者のかたが買ってくれる作家という印象でしたから、来年1位はきっと佐藤愛子さんだよねって予想していた人はあまりいなかったと思うんです。それがこれだけ話題になって、老若男女のいろんな人が買ってくださったのは、もともとの文章の面白さが伝わって、広がっていったからだと思うと、私もとても嬉しいです」
一口に老若男女といっても、その幅広さ、裾野の広がりはこれまでにないものを感じたと高頭さんは言う。
「佐藤さんのコアな読者層である年配の女性のかたが『今、流行っている佐藤さんのアレ、ある?』といった感じで買いに来られることもたしかに多いですが、サラリーマンの男性も結構購入されているなという印象と、佐藤先生の『いちいちうるせえ』という言葉がインターネットで話題になったりしたことで、10代、20代のかたからの問い合わせも多いですね」
この本のいちばんの魅力は、「世代が違っても共通の話題として話し合える」面白さがあることだと高頭さん。
「母から買ってこいと言われて、『九十歳。何がめでたい』を渡したんですが、たとえ親子でも、30才も年が離れていると話が合わないことが多いと思うんです。だから普段はお互い、そんなに本の話をしないんですが、この本では『ここの部分がすごく面白かったね』とか、『私はこう思った』とか、そういう話ができました。
その他、本の話をする友達や同級生たちとも、『すごく面白かったね』って話し合いました。小説などでも、今の世の中、感想を言い合ったりしない人の方が多いと思うんですが、『九十歳。何がめでたい』なら、おばあちゃんと孫ぐらい年が離れていても、楽しく話ができると思いますね」
※女性セブン2017年6月22日号