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安倍一強 メルクマールは「小沢一郎の敗北」

「みんな志を持って国家公務員になり、世の中の全体の奉仕者、公僕として仕事がしたいと思っている。しかし最近は、一部の権力者の下僕になることを強いられることがあるような気がする」

 かつて永田町は自民党内も与野党間も「数は力」の論理で動いていた。仲間を集め、国会で議論を戦わせ、選挙で国民の支持をより多く集めることこそが権力闘争だった。

 だが、今や権力者が批判勢力を排除することで国民の「空気」を支配し、戦わずして勝利する。政治をコントロールしていた霞が関の官僚さえ、総理の意向を忖度する行政を行なうようになった。

 そうして生まれたのが「安倍一強」と呼ばれる異形の政権だ。日本政治の研究者、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(アムステルダム大学教授)は、国家権力が国民に偽りを事実と信じ込ませ、「偽りの現実が蔓延する社会」が広がったのは2009年の一連の小沢事件捜査からであり、それ以来、「偽りの事実から国民は目覚めていない」と指摘している(本誌・週刊ポスト前号「安倍官邸の『空気の研究』」)。

 自民党を飛び出して四半世紀、小沢氏は「政権交代可能な2大政党制」を実現させることを掲げて自民党政権に挑み、2度倒した。その小沢氏が検察という国家権力の捜査で政治の中央舞台から追われると、ほどなく2大政党による政治体制は崩壊し、国民の野党への期待も失われたまま回復していない。

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