山健組では井上組長のほかにも、最高幹部である若頭補佐らが、任侠団体山口組・織田代表の警備担当組員に対する傷害容疑で逮捕されたばかりだ。この件で山健組本部への家宅捜索が6月1日に行なわれた矢先に井上組長が逮捕され、7日に再び家宅捜索が行なわれるという“集中砲火”である。
◆なんでも「使用者責任」
「警察は反目する双方を利用し、それぞれの弱みにつけ込もうとする。任侠団体山口組サイドから神戸山口組の情報を得ようとしているはず。逆もそうで、井上組長も取り調べには応じないだろうが、雑談くらいはするはずだから、あれこれ聞き出そうとするでしょう。これまでだったら詰め切れなかった過去の事件についても、口を割る人間が出てくることを警察は期待している」(前出・鈴木氏)
とりわけ関係者が注目しているのが、京都の金融業者が2013年3月に失踪した事件だという。
「この失踪事件には、かねて神戸山口組幹部が複数関与していたとされ、京都府警は捜査を続けてきた。京都府警が井上組長を逮捕しようとしているという話も、この事件の捜査に絡んだものだった。兵庫県警に先んじられたとはいえ、京都府警はこの案件に踏み込むタイミングを虎視眈々と狙っている」(前出・元兵庫県警)
そんななかで唯一、高みの見物を決め込むのが六代目山口組だ。「司(忍)組長は絶対にオモテに出ないようにしているから、心配ない」(六代目山口組関係者)というが、実際にはその司組長も警察はターゲットにしている様子が窺える。