この3月、名古屋市内の元クラブ経営者の女性が山口組弘道会系の組織を相手に、みかじめ料の返還・慰謝料などを求めた裁判で、名古屋地裁は弘道会の幹部のみならず、そのトップである司組長の使用者責任まで認め、司組長らに1355万円の支払いを命ずる判決を下した。この判決を、警察は「画期的判決」と評価する。
「司組長は傘下組織を指揮監督する立場にあることが改めて認められた。今後、『使用者責任』を名目にした裁判は増えるだろうし、従来は民事に限定されていた使用者責任を刑事にまで拡大解釈する流れが加速するでしょう」(警察庁関係者)
警察にとっては、「使用者責任」を駆使すれば、いつでもトップを逮捕できる状況が出来上がりつつある。
「警察は山口組の分裂を、自壊に向かっている証拠と見ている。『もっと割れろ、もっと割れろ』と思っているし、3つに分裂した状況を最大限利用しようとしています」(前出・溝口氏)
※週刊ポスト2017年6月23日号