にもかかわらず戦後70年以上にわたって日本の平和が維持されてきたのは、アメリカの強大な軍事力と核の傘に守られていたからだ。
しかし、野党がそんな体たらくであっても、現実問題として、安倍首相主導の改憲は難しいだろう。一部の世論調査では、9条に自衛隊の存在を明記する安倍首相の改憲案に賛成多数という結果も出ているが、実際に選挙で9条加憲を争点にしたら負けるだろうし、国民投票でもおそらく反対多数になると思う。
それは原発論議に似たところがあって、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が争点となった2016年10月の新潟県知事選挙では、同原発は福島第一原発事故の教訓を盛り込んだ技術的な安全対策をすべて施してあり、再稼働を推進する自民党が保守王国・新潟で前長岡市長を全面支援したにもかかわらず敗北した。いくら安全と言われても、政府・自民党にやらせたら安心できない、と県民が判断したのである。
改憲論議における国民の深層心理も同様ではないかと思うのだ。
※週刊ポスト2017年6月23日号