国内

10万円の女性専用墓 誕生契機は所持金2700円の人の遺骨

「スノードロップ」の女性専用永代供養墓

 お墓の問題は、「どこに入るか」ともう1つ、「誰と入るか」ということも根深い悩みだ。 なかには、夫や、夫の両親とは、死んだ後まで一緒は嫌という人もいるだろう。あるいは一緒に入る伴侶がいないケースもある。今回は、女性たちだけで墓に入ることを選択したケースを紹介する。ノンフィクションライターの井上理津子氏がNPO法人「スノードロップ」の女性共同墓「なでしこ」を取材した。

 * * *
 最寄りは、東京から約70kmの関越道・東松山インターチェンジ。先日、八王子の東京里山墓苑に行ったとき「本当に東京?」と思える景色だったが、ここもすごい。埼玉県鳩山町の真言宗・妙光寺内にある女性専用の共同墓「なでしこ」がある。

 妙光寺は「日本昔話」に出てくるような農村風景の中にあった。高台の墓地から、雑木林が広がる里山がパノラマの眺めだ。関東では数少ないモミの木も群生し、「熊井の森」と呼ばれているという。

 「この景色、私も毎日見ても飽きないです」と、スノードロップ代表の布川智恵子さん(61才)が言う。

「なでしこ」には、黄色い芯に白い花びらを付けたカモミールが咲き誇り、優しい香りが漂っていた。面積は、約4m×3.5m。中央に立つ墓標は、薄ピンクと白のタイルで囲んだガラスに、なでしこの花びらなどが描かれたモニュメントだ。

「それね、太陽の光が当たると、ガラスの部分がきらきらと輝くんですよ。リッツカールトンにも作品を提供されている、大好きなグラスアーティスト野口真里さんに作ってもらったんです。無謀にも『予算これだけしかないんですが、どうしても野口さんにお願いしたいんです』って、頼み込んで」

 納骨スペースは、カモミールの間に「白」「星」「虹」などの文字が入った石蓋の下。遺骨は、スタッフやボランティアお手製のさらしの袋に入れて、埋葬するそうだ。参拝場所に、約40人の名前が刻まれた石のプレートがある。すでに埋葬されているのは約半数で、生きている契約者たちも名を連ねているのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト