「覚えたい数字を語呂合わせにして、3秒で言えて脳裏にパッと浮かぶ物語にする。3秒は人間の呼吸と同じリズムなんです。これが効果的だった。一呼吸で言える言葉は覚えやすい。 3秒イメージに気づいてからは無理なく自然に暗記することができるようになりました」(友寄さん)
友寄さんはまず、語呂合わせ用に数字とカナの変換表を作成した。例えば円周率の最初の小数点以下10行、「1415926525」を覚える場合は、「141(都市の)」「592(黒人)」「65(婿)35(サンゴ)」に分け、「都市の黒人婿にサンゴ(をあげた)」というちょうど3秒で口にするストーリーを組み立てる。
「100桁なんてとても無理だと思っていたかたでも、この方法だと意外に簡単に暗唱できますよ」(友寄さん)
抜群の記憶力は、仕事にも生かされた。46才で1万5000桁の暗唱に成功すると、創業者としてソニーを支えた井深大氏から声がかかった。
「どうせなら記憶を生かす仕事をしたらどうだ」
そのひと言で、友寄さんは教育システム研究室に異動。能力開発の業務に携わるようになったのだ。研究の傍ら、54才で円周率4万桁暗唱に成功し、当時のギネス記録に認定された。数字の暗唱には17時間21分かかった。
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号