総店舗数241店のうち旗艦店が半数以上の122店舗を占め、銀座初出店も81店舗あるので、高級ブランドや目新しい商品の“ショールーム”として見学に訪れる客は多いだろう。だが、見た目は従来の百貨店と代わり映えがしないし、高価格帯の店が多いから、実際に購入する人は少ないと思う。一方、銀座の一等地だからテナント料は非常に高い。
となると、広告宣伝塔の役割が大きく、採算度外視のケースが多い旗艦店はともかく、他の店は採算を取るのが難しいので、もしかすると短期間で撤退するテナントが続出するかもしれない。
百貨店の苦戦とブランドの崩壊は、世界的な現象だ。たとえば、アメリカでもメーシーズやJCペニーなどの百貨店は大規模な店舗閉鎖と人員削減に追い込まれている。実店舗を大々的に展開するアバクロンビー&フィッチ、J・クルー、ギャップ、バナナ・リパブリックといった既存のアパレルブランドも軒並み業績が低迷し、店舗閉鎖とリストラを余儀なくされている。
未だにブランドをありがたがっているのは、日本人の一部と中国人くらいである。
もちろん、百貨店や既存のアパレルブランドが凋落したのは、消費者の購買行動がリアルからサイバーにシフトしたことが最大の原因だ。家電量販店が不振に陥ったのと同様に、今や大半の消費者は実店舗(=ショールーム)では現物を確認するだけで、買う時は価格コムなどでEC(電子商取引)サイトの値段を調べ、最も安い物を購入する。この現象が、今後は国境も業界も関係なく広がっていくことは間違いない。