たとえば、フジテレビのオリジナル動画を公開しているYouTubeチャンネル「フジテレビアラカルト」では、映画『帝一の國』の「360度VR動画 フンドシ太鼓編」を公開、再生回数30万回を超えている。ところが、若い女性たちが映画館に詰めかけているこの作品の特典映像を、「どうやって見ればよいのかわからなかった」と残念そうに話すファンが少なくない。VRゴーグルがなくても、スマホかタブレットのアプリで全画面表示にすれば映像が360度で展開される疑似体験ができるのだが、視聴方法の説明がどこにもないからだ。
「担当者が技術に詳しい人なので、基本的な説明の必要性をあまり感じないせいもありますが、評判にはなりたいけれど目立ちすぎるのは避けたい心理も働いているのではないでしょうか。フジテレビはネットではいつも悪役としてとらえられることが多いので、これ以上嫌われないように慎重に行動し、地味でもチャレンジは続けていこうという姿勢です」(フジテレビ関係者)
視聴率や業績など、暗い話題が続くフジテレビだが、密かにネットとの親和性を高め、実力を蓄えていくことで、大きく巻き返せる日が来るのかもしれない。