《自宅治療師 付き添い 週2回 各2時間》
《通院 付き添い 週2回 各3時間》
《散歩付き添い 毎日40分》
《手足マッサージ 毎朝晩 散歩帰宅後 計60分》
《血圧測定 毎朝晩》
《飲み物補強、着替え衣類準備、薬塗り替え、足湯準備(冬)、湯たんぽ準備》
《代行 家内あての手紙、メールなどの代返、電話対応 平均毎日30分》
壮絶な日々である。だが、まったくつらくないと友寄さんは言う。
「何事も焦らないことです。近所に住む娘夫婦が週に1度手伝いに来てくれるのも助かっています。退院当初は10分しか歩けなかった家内が、今は1時間も散歩できるようになりました。左手で杖をついて、右手は私とつなぎます。電車に乗れるようになれば、また遠出できるんですけど。
何より、家事を自分でやるようになって気づいたんです。これは究極の脳トレだ、と(笑い)。83才から覚えた料理ですが、やってみるとなかなか楽しい。冷蔵庫をチェックして献立を考え、必要な食材を買いに行く。皮をむいて煮たり焼いたりを同時進行で行い、合間に洗い物をする。クリエーティブで、“ながら作業”ばかり。掃除や片づけも手順や道具の選択が必要だし、『老けない脳』には家事が必須だと思いました」(友寄さん)
今年1月、友寄さんは国立長寿医療研究センターで脳の認知力の試験を受けた。結果、「記憶力」「注意力」「実行力」「処理能力」のすべてで同年代平均をはるかに上回る成績を叩き出し、医師を驚愕させたという。
「“数千人の認知機能結果を見てきたが、こんな高い点数の高齢者は見たことがない”と言われ、素直に嬉しかったですね」(友寄さん)
人間の記憶の限界をこじ開け続ける友寄さん。
――これからの目標はなんですか?
最後、彼にこんな質問を投げかけてみた。
「そうですね…。季節がいくつ変わっても、いつまでも家内と過ごしていけたら嬉しいです。もちろん記憶法の研究も続けます。目隠しルービックキューブの記録更新は変わらぬ目標です。諦めない限り脳の力に限界はない。そう信じています」
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号