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84才記憶力の超人、妻の介護で気づく「家事は究極の脳トレ」

毎朝、妻の光子さんと散歩する友寄さん

 円周率4万桁を諳(そら)んじる84才の男性がいる。円周率4万桁暗唱に成功した元ギネス記録保持者で、ルービックキューブを目隠しで揃える競技の世界最高齢記録を持つ、友寄英哲(ともよりひであき)さんだ。そんな“スーパーエイジャー”の友寄さんの記憶力を語る上で欠かせないのが、家族の存在である。

 彼は社会人になって数年後に結婚。長女にも恵まれ、夫が暗唱する円周率が本当に正しいかどうか、妻が読み合わせをして確かめる幸せな日々を過ごした。4万桁の暗唱を達成した時は、家族が心から祝福してくれたという。だがその後、妻を不幸が襲った。

「がんが見つかりましてね…。すい臓にも転移していて、気づいた時は手遅れだった。発覚から1年後に亡くなりました」(友寄さん)

 失意の生活から立ち直ったのは、数年後のこと。ある勉強会で、気の合う1人の女性に出会う。それが現在の妻、光子さん(72才)だった。12才年下の彼女は当時、大手食品メーカーに勤めていた。

「笑顔が素敵で、私の一目ぼれです(笑い)。人生観や食事、読む本などがピタリと一致する理想的な女性でした」(友寄さん)

 ふたりは1991年に結婚。光子さんは初婚だったが、娘との関係もよく、平穏な日々が続いた。

「お互い旅行が大好きで、ロシアやイスラエルなど、普通の人が行かないような地域まで、毎年のように夫婦で旅行に出かけました」(友寄さん)

 彼女の古希の祝いには、7本の薔薇とふたりの軌跡を振り返る家族新聞をプレゼントした。俳句を嗜む光子さんからは「夫活けし古希の七つの冬薔薇」という一句がお返しに詠まれた。毎晩寝る前に「今日もありがとう」とハイタッチをする、相思相愛の夫婦だった。

 だが結婚25年目の2015年12月、光子さんを試練が襲った。

「朝起きて顔を洗っていると、家内がバタンと崩れるように倒れたのです。起き上がろうとしても、手が動かず起き上がれない。ただごとではない、とすぐに救急車を呼びました」(友寄さん)

 医師の診断は脳出血だった。一命を取りとめた光子さんは緊急入院してリハビリ治療を受けたが、右半身まひと失語障害の後遺症が残った。昨年5月、光子さんは病院から半年ぶりに帰宅。以降、友寄さんの献身的な介護の日々が始まった。

「自宅を介護用にリフォームしましてね。料理、洗濯、掃除などは全部私がやるようになりました。最近は左手で洗濯物をハンガーにかけたり食器を洗ったり、家内もできる範囲で手伝ってくれるので助かります。入浴も私が介助するし、服を着る時もそうです。毎日60分の手足マッサージや散歩の付き添いも欠かしません」(友寄さん)

 取材当日、友寄さんは介護の現状をA41枚のレジュメにまとめて持参してくれた。以下、一部を紹介する。

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