銀座店の成功で都心部での出店が加速
一歩中へ入ると、茶色やベージュを基調とした落ち着いた雰囲気に驚かされた。ゆったりした見通しの良い陳列。間接照明。私の思い込みを見事に裏切って、そこはシャレた空間だった。
「『儲からなくてもいいからとにかくやってみよう』と似鳥昭雄会長が百貨店への出店を決めました。私たちにとって新たな挑戦でした」と白井俊之社長(61)は振り返る。ニトリにとって“空白地帯”だった都心部へ進出する最初の足がかりは銀座。当時は「まさかニトリが銀座に?」と懐疑的な声も少なくなかったという。かつての「プランタン銀座」、現「マロニエゲート2」の5~6階に構える店は週末ともなると家族連れやカップルで大賑わい。レジには行列ができている。
「都心部なので面積には限界がありますし、百貨店内ですから特別な店舗デザインが必要でした。プロジェクトチームを作って取り組みました」
商品のラインナップを大きく変えることはできない。だとすれば、いかに都会人にアピールする店にするか。
「天井の蛍光灯を吊り下げ型や間接照明に変え、陰影を出すことで商品を立体的に見えるようにしました。また、棚を低く視界を良くして圧迫感を減らす、といった取り組みなど、商品の並べ方から色調まで細かな工夫を重ねていきました」
オープンすると想定を超えて20代から中高年男性まで幅広い客が押しかけた。銀座店の商品構成は「中価格帯の商品」が中心だが、ニトリの基本は「お、ねだん以上」だけにお買い得感は大きい。