国際情報

医療サイト鵜呑みの母親 39.5度の高熱1歳児を放置で危機

子供の健康をめぐって論争(写真:アフロ)

 ネットのデマは時に大きな社会問題となり得るが、中国では今、子供の健康をめぐって論争が巻き起こっているという。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 我が子には病気に負けない強い子に育ってほしい──。

 親が子にそう願うのは万国共通のことであろう。そのために母親はさまざまな意見に耳を傾ける。そんな子育てに熱心な母親が、何でもかんでも医者に駆け込むことに疑問を持ったとしても不思議ではない。だが、既存の知識に疑いを持ったとしても、それをすべて否定してしまうのもちょっと危険ではないだろうか。

 そんなことを考えさせる論争が中国で起きている。

 きっかけは「恒星育嬰室」というサイトから発せられる子育ての指南であった。曰く、子供にはそもそも自ら病気を克服する能力が備わっている。それを考慮することなく安易に医者にかかり薬を与えてしまえば、かえって免疫力を低下させてしまうことになる、というものだ。

 いわれてみれば確かにもっともらしく聞こえるが、この教えに感化されたママさんたちがいま、中国社会で大きな問題を引き起こしてしまっているというのだ。

 6月23日付で『中国新聞』ネットが『寧波晩報』から転載した記事によれば、39.5度の発熱をしている1歳児を1週間近くもそのままにした母親の話が紹介されている。タイトルは、〈39.5度の発熱をしている女児を医者に診せることを母親が拒絶 薬の服用も拒む その理由はネットでの教え〉だった。

 実際、話題として取り上げられたサイト、「恒星育嬰室」には、さまざまなお母さんたちの体験記が紹介されていて、そのすべてが「子供がアレルギーを自ら治癒した日記」、「手足口病、克服記」、「11回の発熱、3度の扁桃腺の腫れも自ら治癒」、「発熱君、こんにちは!」など、勇ましい書き込みがずらりと並ぶのだ。

 結局、タイトルの女児は伝染病による発熱で会ったことが後に明らかになったというから、危うく一命を落としかねない危機だったというわけだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
教員ら10名ほどが集まって結成された”盗撮愛好家グループ”とは──(写真左:時事通信フォト)
〈機会があってうらやましいです〉教師約10人参加の“児童盗撮愛好家グループ”の“鬼畜なやりとり”、教育委員会は「(容疑者は)普通の先生」「こういった類いの不祥事は事前に認知が難しい」
NEWSポストセブン
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン
4月12日の夜・広島県府中町の水分峡森林公園で殺害された里見誠さん(Xより)
《未成年強盗殺人》殺害された “ポルシェ愛好家の52歳エリート証券マン”と“出頭した18歳女”の接点とは「(事件)当日まで都内にいた」「“重要な約束”があったとしか思えない」
NEWSポストセブン
「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン