ライフ

保育園で「この、ハゲーーー!」流行 悪いのはテレビなのか

暴言の流行はテレビの責任か?

 豊田真由子衆議院議員による秘書への暴行・暴言が週刊新潮によって報じられ、その音源が公開されてから約3週間。まずYouTubeで公開され、その後、テレビでも何度も引用された「この、ハゲーーー!」という叫び声は、いまや全国各地で知られるようになった。あまりに印象が強いこの叫び声は、大人だけでなく子供にも大きな影響をおよぼしている。

「いきなり叫ばれて、びっくりしました」と話すのは、保育園年長さんの娘がいる30代会社員女性。先日、慌ただしく出かける準備をしていたところ、娘が楽しそうに「この、ハゲーーー!」と叫んだ。

「朝、時計のかわりに民放の情報番組をつけっぱなしにしているのですが、そこで繰り返し放送されるのを聞いて、覚えてしまったようです。新しいギャグか何かだと思っているのか、叫んだあとケタケタ笑っています。人をののしる言葉だと理解していないぶん気が楽になりましたが、通りすがりに耳にした大人は気分悪いですよね。なので、言わないように注意はしましたが、理由については理解できないようで……。保育園でも、流行っているみたいです」

 豊田議員の口調を真似して娘が叫んだ日の夜、夫婦で話し合い、朝の情報番組はしばらくNHKにしておこうと決めた。NHKだけは、この暴言の音声をそのまま放送していなかったからだ。

「本当は、そういう言葉遣いをしてはいけないときちんと説明できたらよいのですが、『ハゲ』とは何か、どうしてその言葉が人をののしる意味を持ってしまうのかを年長さんにきちんと説明できる自信がありません。もう少し大きくなったら、『ハゲ』は決して差別語にしてはいけないことも含めて話せる日がくると思います」(前出の30代会社員女性)

 さらに、こんな情報を提供する姿勢を疑えと訴える人たちもいる。放送倫理・番組向上機構(BPO)に意見を寄せる人たちだ。BPOのHPで公表されている「2017年6月に視聴者から寄せられた意見」をみると、

「バラエティー番組で、女性国会議員の元秘書に対する暴言・暴行の問題について面白おかしく取り上げ、笑いにしている。ふざけ過ぎる内容を元にいじめを行う子どももいると思う。取り上げるからには真剣に報道してほしい」

 とある。BPOといえば、倫理や人権、青少年に対して問題ある報道や番組制作について、視聴者からもモノを申せる窓口になっている。深刻なケースでは審議が行われ、その報告書は、テレビ番組制作に係わる人間ならば必ず目を通すようにと命じられるものだ。豊田議員にまつわる放送についての意見を、テレビ番組制作の現場では、どのようにとらえているのか。

「視聴者からの意見はありがたくいただきますが、なんでもテレビにせいにしてほしくないという本音もあります。大きな声では言いづらいですが、いじめちゃダメだと周囲の大人が教えればいいだけの話じゃないですか。こういうことを言うと、ますます風当たりが強くなるので黙っています。いまは、テレビが嫌われ役を引き受けないと行けないのだろうと諦めています」(在京テレビ局ディレクター)

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン