芸能

津川雅彦 「僕とジェームス三木さんとの阿吽の呼吸」

津川雅彦が家康の芝居について振り返る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、大河ドラマで何度も演じた徳川家康としての芝居について語った言葉を紹介する。

 * * *
 津川雅彦は1987年のNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』に徳川家康役で出演した。豊臣秀吉役は勝新太郎だった。

「秀吉は大坂城に諸大名を集め天下獲りを宣言したいんだが、家康に横を向かれたら面目丸つぶれだ。前夜に家康を屋敷に招き、大名たちの前で天下人として認めてくれと頼むシーンが僕と勝さんの初顔合わせだった。

『秀吉が皆の前で頭を下げてくれと頼んだら、家康ならどうする』と勝さんが聞く。『ムカッとして、返事をしませんね』と答えたら『いいね。それで本番いこう』って。まずテストをと頼んだら『芝居に慣れが出ると面白くなくなる』と拒否された。

 結局、少しやりとりしただけで僕はすぐセリフが出なくなってしまった。勝さんは舌打ちしていきなり僕のそばに来て、かつらの上から頭をノックした。頭蓋骨の蓋を開けて中を覗くマネをしながら『あーあ、中がおもちゃでいっぱいだ』って。当時、僕はおもちゃ屋始めたばかりだったから。セリフが出ないのは役者に集中できてないせいだって言いたかったんだ。

 頭にカッーときたね。次の本番で差し出されたお茶をまずはあなたがお先にどうぞと、秀吉の方へ返す芝居を思いついた。『天下人として立てる』という家康の意思表示だね。勝さんも満足気に頷いてくれたんだが、御本人がNGを出しちゃった。

『お前の芝居に感心してたら、良いセリフが出てこなくなってよ』って言いながら『かつらの具合が悪い』って楽屋から三時間出て来なくなっちゃった。バツが悪かったんだね。そういう繊細な人だった」

 2000年の大河『葵 徳川三代』でも家康を演じている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(HP/時事通信フォト)
「私嫌われてる?」3年間離婚を隠し通した元アイドルの穴井夕子、破局後も元夫のプロゴルファーとの“円満”をアピールし続けた理由
NEWSポストセブン
小野田紀美・参議院議員(HPより)
《片山さつきおそろスーツ入閣》「金もリアルな男にも興味なし」“2次元”愛する小野田紀美経済安保相の“数少ない落とし穴”とは「推しはアンジェリークのオスカー」
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン
記者会見を終え、財務省の個人向け国債のイメージキャラクター「個子ちゃん」の人形を手に撮影に応じる片山さつき財務相(時事通信フォト)
《つけまも愛用》「アンチエイジングは政治家のポリシー」と語る片山さつき財務大臣はなぜ数十年も「聖子ちゃんカット」を続けるのか 臨床心理士が指摘する政治家としてのデメリット
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(時事通信フォト)
「濡れ髪にタオルを巻いて…」森下千里氏が新人候補時代に披露した“入浴施設ですっぴん!”の衝撃【環境大臣政務官に就任】
NEWSポストセブン
aespaのジゼルが着用したドレスに批判が殺到した(時事通信フォト)
aespa・ジゼルの“チラ見え黒ドレス”に「不適切なのでは?」の声が集まる 韓国・乳がん啓発のイベント主催者が“チャリティ装ったセレブパーティー”批判受け謝罪
NEWSポストセブン
高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン
安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン